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C'est la vie!

En écoutant la chanson de "Let it be"

2011.10.12


35日目・En écoutant la chanson de "Let it be"("Let it be"の唄を聴きながら)

退避前に注文し、納金も済ませていたのに作ってもらえず仕舞いだった机があったので、
この数日そこのアトリエに通い、職人に交渉を試みていたのだが、
ずーっと留守で、電話も繋がらない状態だった。

今日、他のアトリエで彼を見つけ、
問いただそうとしてみたら、
それは彼ではなく、そっくりなお兄さんだった。

聞くと弟は逃げてしまって、
私と同じような苦情が後を絶たないらしい。

Burkinaではこういう場合、お兄さんといえどもお金を返してくれたりはしない。
連帯保証人、みたいな考えは聞いたことが無い。

しかも、奥さんの治療費が必要でとんずらしたとかで、
もはや何も言う気力が無くなってしまった。

そういう窮地に陥って、
世の中的に悪いこととされることをしなければならないというのは、
本当に切ないというか、やりきれない感じがする。


先日、そう言えば老人が我が家を訪ねてきたことがあった。

うちは病院のすぐ裏手で、日本人だし目立つからついてきたのだろう。
薬が買えないから、お金を恵んでくれ、ということだった。

意地悪したくて言うのではないが、この街には生活費の振り込まれる銀行がなく、
移動が制限されている今、次回上京時まで残金のみで生活しなければならない私は、
3万Fcfaの残金しか無い状況で、2万Fcfaの要求はとてものめるものではなかった。

もちろん、それが彼の生命に関わる問題だとしたら、という不安はよぎった。
そして、(援助してくれる額なら)少しだけでも構わない、と粘られてしまった。

が、では、そこで仮に彼を救うことを選んだとして、
今後、他の街の人たちからも、あの日本人は助けてくれる、とたかられてしまうことになれば、
私はその葛藤を、今後幾度となく経験しなければならなくなるのではなかろうか?

そんなことを思って、
私は結局1銭も渡さず帰ってもらうことを選んだ。

日本でもそういうケースは無いとは言い切れないけれど、
ここではそんな、自分の選択が生死を分けるかもしれない、
なんていうシチュエーションが幾度となく訪れ得る。
これはかなりヘビーな状況。
正直、どうすることが最善なのかさっぱりわからない。

それは一番目をそらすべきではない、アフリカの抱える闇の核心を突くような問題で、
頭では、逃げてちゃいけない、とわかってはいるけれど、
できれば知りたくなかった、出逢いたくなかった、考えたくなかった、そんな気がする問題。

私はどうすべきだったのか、
今後はどうしていくべきなのか、
世界はどう変わっていくのか、
変えていかなければならないのか…

そんなことを考えていたら、
なぜか今日はLet it beばかりが頭の中を流れてしまう。
There will be an answer "Let it be"

きっとそういう意味のLet it beではないような気がするけど、

あるがまま、そのままにしておくしかない、
結局、悩んだところで今の自分にはそんな手段しか取りようが無いみたいだ。
by nao24d | 2011-10-12 23:00 | 心境